日々のスナップデータで営業進捗を見える化 ― ステータス別“◯以上”で積み上げ粗利を分析するQlik活用術
- Lily
- 7月24日
- 読了時間: 4分
更新日:8月27日
営業活動において、案件の進捗状況(ステータス)に応じてどれだけの見込粗利があるのかを把握し、「目標達成まであとどれくらいか?」「どのステータス以上を取得すれば達成可能か?」を分析したい場面はよくあります。
たとえば「ステータス」というデータ項目を持っていたとしても、その値は1、2、3…といった単一の進捗コードとして格納されていることが一般的です。しかし実際の業務では、「ステータス3以上の案件」「ステータス5以上の見込み粗利」といった“範囲条件”での集計・分析が求められるケースも多く、こうした条件に対応する分類項目が元データに存在しない、ということも少なくありません。
本来であれば、Class 関数 や If 関数などを用いて、スクリプト側で分類用の軸を作成しておくのが理想的です。しかし、Qlik Cloud Analyticsの容量ベースライセンスでは多くのユーザーが可視化に参加できるようになった一方で、セキュリティやガバナンスの観点から、データロードエディタを編集できるユーザーは限定されていることもあります。
そうした場合に有効なのが、ValueList()関数を活用して、可視化画面上だけで仮想的な分類ラベルを定義する方法です。データモデルを変更することなく、たとえば「3以上」「4以上」などのラベルをディメンションとして扱えるため、素早く柔軟に分析を行うことができます。
本記事では、Qlik Cloud Analyticsを活用し、ステータス(○○以上)別に粗利金額を積み上げて、どの段階で予算を超えるかを視覚的に確認するチャートの作成方法をご紹介します。
■目次
積み上げグラフの構成
フィルタ条件で最新データを抽出
予算基準線を活用した達成見込みの視覚化
さいごに
■積み上げグラフの構成
今回作成するのは、Qlikの積み上げ棒グラフを使った構成です。X軸にはステータスのしきい値(3以上、4以上…)を、Y軸にはその条件以上の案件における粗利金額の合計を表示します。
▼チャートの種類
積み上げ棒グラフ
▼軸(積み上げ)
=ValueList('3以上', '4以上', '5以上', '6以上', '7以上')
※ ValueList() を使うことで、Qlikのデータモデルに存在しないラベルを表示軸として定義できます。
▼軸(棒)
ステータス
※ ステータスごとの案件数や金額を棒として積み上げ表示することで、内訳の把握が可能です。
▼メジャー
If(ValueList(...) = '3以上',
Sum({<[DL日付]={'$(v_DL日付)'}, [ステータス] = {">=3"}>} [粗利金額]),
If(ValueList(...) = '4以上',
Sum({<[DL日付]={'$(v_DL日付)'}, [ステータス] = {">=4"}>} [粗利金額]),
...
))
▽解説
●If(ValueList() = 'X以上', …)
→ それぞれのラベルに対応するデータ抽出条件をIf式で制御。
ValueListの値に応じて異なる計算式を選択します。
●Sum({<[ステータス]={">=X"}>} [粗利金額])
→ SET分析を使って、条件にマッチするステータス以上の粗利金額を合計します。
●[DL日付]={'$(v_DL日付)'}
→ 変数を用いて、最新のDL(データ取得)日付のみを対象にしています。
ここで使っている [DL日付]={'$(v_DL日付Y)'} は、フォーキャストデータが
日々上書きされるという前提に対応するための工夫です。すべてのDL日付を
対象にすると、過去の同一案件が重複して集計されてしまい、見かけ上の粗利が
膨らむ問題が発生します。これを防ぐために、変数 v_DL日付に最新のDL日付
(データ取得日)を動的に格納し、最新スナップショットのみを対象にする
ことで、正確な粗利見込みの把握が可能となります。
■目標基準線を活用した達成見込みの視覚化
Y軸に「基準線」を追加することで、積み上げ粗利と予算目標との比較が一目で
わかります。
▼設定手順
1)棒グラフを選択します。
2)プロパティパネルの「拡張機能」>「基準線」>「基準線を追加」を選択します。
3)以下のとおり入力します。
ラベル:今期目標
数式例:=Sum({<年度期={'$(=Max(年度期)'}>} 予算金額)
さいごに
Qlik Cloud Analyticsを活用すれば、複雑な営業見込み分析も、ユーザー自身の工夫によって柔軟に可視化できます。
今回ご紹介した「ステータス◯以上」の分類による積み上げチャートは、データモデルに存在しない軸でも ValueList() 関数を用いて簡易的に表現できる点が大きな利点です。
もちろん、データスクリプト側で Class() や If() を使ってあらかじめ分類項目を作成しておくのが理想ですが、それが難しい環境でも画面上だけで“仮想ラベル”を用いた分析が可能になることで、現場主導でのスピーディな可視化・検証が可能になります。
まずはお手元のデータを使って、ぜひお試しいただければと思います。






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