芝の最強王者はフェデラー??【記録で見る男子テニス】
- SENSUKE KURIYAMA
- 22 時間前
- 読了時間: 10分
記録で見る男子テニスの第三弾はグラスコートの歴代最強を探っていきます。
(あわせて読みたい:テニス史上最強プレーヤーは!?、クレー歴代最強は!?)
1968年から2024年3月までのデータをQlik Senseアプリで分析しました。「クレーのナダル」に対して「芝はフェデラー」と聞きますが結果はいかに・・・?!
※ データソースは「Huge Tennis Database」です。各種情報を参考にした独自集計のため、お楽しみの範囲ということでご了承ください。
※ ★マークは現役プレーヤー
▼芝コートでのツアー勝利数1位は?
<ツアー勝利数:芝>
1位:ロジャー フェデラー(スイス)・192 勝
2位:ジミー コナーズ(アメリカ)・174 勝
3位:ジョン ニューカム(オーストラリア)・161 勝
4位:スタン スミス(アメリカ)・152 勝
5位:フィル デント(オーストラリア)・ 151 勝
6位:ジョン アレキサンダー(オーストラリア)・140 勝
7位:トニー ローチ(オーストラリア)・135 勝
8位:ケン ローズウォール(オーストラリア)・134 勝
9位:アーサー アッシュ(アメリカ)・129 勝
9位:レイトン ヒューイット(オーストラリア)・129 勝
ツアーにおける芝コートでの勝利数ランキングです。
1位はR.フェデラーが192勝、続く2位はJ.コナーズの174勝です。3位にJ.ニューカムが161勝で続いてます。全体的に勝利数が少ないので突出した選手はいないように見えます。気になったのは次の二点です。
・世代的に70年代が多そう
・オーストラリアが多い(10人中6人)

<※芝コート大会数の年代別推移>
勝利数ランキングで70年代の選手が目立ったので、そもそもの芝での大会数を年代別で分析しました。1970年代は137大会ありましたが年々減少し2010年代には83大会と4割減少しています。この傾向はランキングにも大きく影響していそうです。

▼ツアータイトル獲得数1位は?
<ツアータイトル獲得数>
1位:ロジャー フェデラー(スイス)・19 勝
2位:ピート サンプラス(アメリカ)・10 勝
3位:ジミー コナーズ(アメリカ)・ 9 勝
3位:スタン スミス(アメリカ)・9 勝
4位:アレックス メトレベリ(ソ連)・8 勝
4位:アンディ マレー(イギリス)・ 8 勝
4位:ジョン マッケンロー(アメリカ)・ 8 勝
4位:レイトン ヒューイット(オーストラリア)・ 8 勝
4位:ノバク ジョコビッチ(セルビア)・8 勝 ★
4位:ロッド レーバー(オーストラリア)・8 勝
トーナメントで優勝してこその芝の最強王者です。

▼ウィンブルドンでの勝利数は?
ウィンブルドンでの成績が芝の王者を選ぶのに最も重要な指標であることは間違いないです。
<ウィンブルドン勝利数>
1位:ロジャー フェデラー(スウェーデン)・105 勝
2位:ノバク ジョコビッチ(セルビア)・92 勝
3位:ジミー コナーズ(アメリカ)・ 84 勝
4位:ボリス ベッカー(ドイツ)・71 勝
5位:ピート サンプラス(アメリカ)・63 勝
5位:アンディ マレー(イギリス)・61勝
7位:ジョン マッケンロー(アメリカ)・59 勝
8位:ラファエル ナダル(スペイン)・58 勝
8位:ビヨン ボルグ(スウェーデン)・51 勝
10位:ゴラン イバニセビッチ(クロアチア)・49 勝
1位はR.フェデラー105勝、2位はN.ジョコビッチ92勝、3位はJ.コナーズの84勝となっています。ジョコビッチは今年(2025年)にウィンブルドン100勝達成がニュースになりましたが、最終はBest8で101勝なので来年もBest8に入ればフェデラーの105勝に並びます。記憶に残るのは4位のB.ベッカー、17歳でウィンブルドン優勝は衝撃でした。元祖ビッグサーブとダイビングボレーは象徴的です。

<【4度目の正直】G.イバニセビッチのウィンブルドン>
あとウィンブルドンを語る際に忘れられないのは10位にランクインしたG.イバニセビッチです。決勝戦に3回挑むも敗戦。ファイナルセットの大事なポイントでダブルフォールトから流れを崩して勝ちを逃す光景がテレビ越しにも印象的でした。そして、4度目の決勝戦は最初の決勝進出から9年後の2001年、3度目のファイナルセットを9⁻7で掴んでの初優勝!足かけ10年の軌跡は映画を作れそうです。ちなみにこの年は年齢やケガもありワイルドカードでの出場でした。

▼ウィンブルドンのタイトル獲得数は?
<グランドスラムタイトル獲得数>
1位:ロジャー フェデラー(スウェーデン)・8 勝
2位:ノバク ジョコビッチ(セルビア)・7 勝
3位:ピート サンプラス(アメリカ)・7 勝
3位:ビヨン ボルグ(スウェーデン)・5 勝
5位:ボリス ベッカー(ドイツ)・3 勝
5位:ジョン マッケンロー(アメリカ)・3 勝
7位:アンディ マレー(イギリス)・2勝
7位:ジミー コナーズ(アメリカ)・ 2 勝
7位:ジョン ニューカム(オーストラリア)・2 勝
7位:ラファエル ナダル(スペイン)・2 勝
7位:ロッド レーバー(オーストラリア)・2 勝
7位:ステファン エドバーグ(スウェーデン)・2 勝
ここでも1位はR.フェデラーの8勝、2位にN.ジョコビッチとP.サンプラスの7勝、3位がB.ボルグの5勝です。また、グラフはないですが、ウィンブルドンの連覇記録も興味深いです。
・B.ボルグ:5連覇(1976~1980)
・R.フェデラー:5連覇(2003~2007)
・P.サンプラス:3連覇&4連覇(1993~1995、1997~2000)
・N.ジョコビッチ:4連覇(2018~2022、2020はコロナで中止)

▼生涯成績の勝率はどうか?
<生涯勝率>
1位:カルロス アルカラス(スペイン)・0.889 ★
2位:ロジャー フェデラー(スウェーデン)・0.869
3位:ノバク ジョコビッチ(セルビア)・0.858 ★
3位:ジョン マッケンロー(アメリカ)・0.858
5位:ロッド レーバー(オーストラリア)・0.848
6位:ピート サンプラス(アメリカ)・0.835
7位:ジミー コナーズ(アメリカ)・0.829
8位:ビヨン ボルグ(スウェーデン)・0.828
9位:ボリス ベッカー(ドイツ)・0.823
芝コートでの生涯勝率も確認しました。(※このランキングは歴代の最高ランキング10位以上のプレーヤーに絞り込みました)
1位はC.アルカラス.889です。新世代の最強に名を連ねるであろうことは間違いないですが、16勝2敗と試合数が少ないので参考記録の扱いで良いと思います。アルカラス以下を見ると、2位のR.フェデラーが0.869、3位にN.ジョコビッチとJ.マッケンローが0.858となっています。

▼年間勝率はどうか?
<年間勝率:年間芝コート試合数25以上>
1位:スタン スミス(アメリカ)・・・0.960 /1971年 24勝1敗
2位:ジミー コナーズ(アメリカ)・・・0.933 /1974年 28勝2敗
3位:ケン ローズウォール(オーストラリア)・0.926 /1970年 25勝2敗
4位:アレックス ネトレベリ(ソ連)・・・0.921 /1972年 35勝3敗
5位:ロッド レーバー(オーストラリア)・・・0.919 /1969年 34勝3敗
6位:アーサー アッシュ(アメリカ)・・・0.909 /1968年 30勝3敗
7位:トニー ローチ(オーストラリア)・・・0.893 /1969年 25勝3敗
8位:スタン スミス(アメリカ)・・・0.885 /1969年 23勝3敗
8位:ティム ガリクソン(アメリカ)・・・0.880 /1977年 23勝3敗
10位:ケン ローズウォール(オーストラリア)・・・0.862 /1971年 22勝3敗
芝での年間勝率を見ると、1位はS.スミスの1971年の.960(24勝1敗)、2位はJ.コナーズの1974年.933(28勝2敗)、3位がK.ローズウォール1970年の.926(25勝2敗)です。芝の大会が多く開催された70年代のプレーヤーが並んでいます。

▼1大会あたりの勝利数はどうか?
<芝コートでの1大会あたりの勝利数:芝の生涯勝利数100勝以上>
芝については大会数が年代により大きく異なるため「1大会あたりの勝利数」を指標として分析してみました。特徴としては、大会数の減少を考慮しつつ、勝利数や各大会での上位進出状況も加味した指標となります。
1位:ノバク ジョコビッチ(セルビア)・4.42 勝/Tour ★
2位:ジョン マッケンロー(アメリカ)・4.03 勝/Tour
3位:ロジャー フェデラー(スウェーデン)・3.92 勝/Tour
4位:ジミー コナーズ(アメリカ)・3.63 勝/Tour
4位:ボリス ベッカー(ドイツ)・3.63 勝/Tour
6位:ピート サンプラス(アメリカ)・3.37 勝/Tour
7位:アレックス メトレベリ(ソ連)・3.36 勝/Tour
8位:ジョン ニューカム(オーストラリア)・3.04 勝/Tour
9位:アーサー アッシュ(アメリカ)・3.00 勝/Tour
10位:ケン ローズウォール(オーストラリア)・2.98 勝/Tour
芝コートでの1大会あたりの勝利数:芝の生涯勝利数100勝以上 | 左記ランキング対象のドロー数 |
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1位はN.ジョコビッチの4.42勝、2位はJ.マッケンロー4.03勝、3位はR.フェデラー3.92勝です。芝の生涯通算勝利数が100勝以上の選手を対象としました。対象となった大会のドロー数を見ると31.4%が32ドロー、21.5%が64ドロー、17.3%が128ドローでした。1大会あたり4勝となると、32ドローなら決勝進出、64ドローならBest4、128ドローならBest8となりますね。
▼歴代最強の芝の王者は?!
では、ここまでの分析をもとにAI「Felo」に芝の歴代最強王者を選んでもらいましょう・・・。上位3名を選出しつつボルグについても言及してもらいました。
1位:ロジャー・フェデラー
根拠:
芝コートでのツアー勝利数歴代1位(192勝)。
芝コートでのツアータイトル獲得数歴代1位(19勝)。
ウィンブルドンでの勝利数歴代1位(105勝)。
ウィンブルドンタイトル獲得数歴代1位(8勝)。
芝コートでの生涯勝率歴代2位(0.869)。
5連覇を達成(2003~2007年)し、芝での安定感と支配力が際立つ。
2位:ノバク・ジョコビッチ
根拠:
芝コートでのツアータイトル獲得数歴代4位タイ(8勝)。
ウィンブルドンでの勝利数歴代2位(92勝)。
ウィンブルドンタイトル獲得数歴代2位タイ(7勝)。
芝コートでの生涯勝率歴代3位(0.858)。
1大会あたりの勝利数歴代1位(4.42勝/Tour)。
4連覇を達成(2018~2022年)し、近年の芝での支配力が顕著。
3位:ピート・サンプラス
根拠:
芝コートでのツアータイトル獲得数歴代2位(10勝)。
ウィンブルドンでの勝利数歴代5位(63勝)。
ウィンブルドンタイトル獲得数歴代2位タイ(7勝)。
芝コートでの生涯勝率歴代6位(0.835)。
3連覇&4連覇を達成(1993~1995年、1997~2000年)し、芝での強さを証明。
ボルグ選手は、芝の歴史において非常に重要な選手であり、特にウィンブルドンでの活躍は特筆すべきものがあります。今回の選出で上位3名に入らなかった理由としては、記事内のデータに基づくと、以下の点が挙げられます。
ウィンブルドンタイトル獲得数: ボルグ選手は5回優勝しており、これは歴代3位の記録です。しかし、2位のジョコビッチ選手とサンプラス選手は7回優勝しており、この差が上位2名との隔たりとなりました。
総合的な芝での勝利数やタイトル数: 記事ではボルグ選手の芝全体でのツアー勝利数やツアータイトル獲得数の具体的なランキングが示されていません。フェデラー選手やサンプラス選手は、ウィンブルドンだけでなく、芝全体でのツアー勝利数やタイトル獲得数でも上位にランクインしており、より広範な芝での実績が評価されました。
生涯勝率: 記事にはボルグ選手の生涯勝率(芝)に関する記載がありませんでしたが、総合的なデータを見ると、今回選出した上位3名(フェデラー、ジョコビッチ、サンプラス)に比べて、勝率や勝利数でわずかに劣る部分があります。
確かに、ウィンブルドンでの5連覇という記録はフェデラー選手と並ぶ偉業であり、芝の歴史を語る上で欠かせない伝説的な選手であることは間違いありません。特に「芝の王者」という観点では、その支配力は絶大でした。
しかし、記事で示された**「芝コートでのツアー勝利数」「ツアータイトル獲得数」「ウィンブルドンでの勝利数」「ウィンブルドンタイトル獲得数」**といった複合的なデータで比較した結果、惜しくも今回のトップ3選出からは外れる形となりました。彼の時代と現在のテニス環境の違いも考慮すべき点ですが、記事内の数値データに限定して判断すると、上記の結論となります。
以上